私はスタッフのみなさんと接している時に常々感じることがあります。
20〜30代の方はポテンシャルを秘めていても経験や実績が少なく、40代以上の方はスキルを身に付けていても、それを十分に活かす場が少ないという現状です。
結婚後に家事や子育てに専念されてきた方々も、会社で働くことでは得られない素晴らしい経験があるにも関わらず、いざ働こうとした時に思うようにいかないという厳しい現実です。
一方で、新卒3年以内の若年層の離職率は30%以上という高い数値が続いています。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が進む中、ミドル世代の就業機会の拡大や、意欲や能力を存分に発揮できる環境がまだまだ不足しています。
厚生労働省が掲げている「働き方改革」では、働く人の置かれた個々の事情に応じて多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
働き方のダイバーシティ(多様化)はもちろん必要なことですが、私は、何より重要なのは「働き甲斐」であると感じています。
能力が存分に発揮できていない若い世代に対しては育つための環境が必要です。ミドル世代に対しては年齢を問わず、今まで培ってきた経験や技術を大いに活かす環境が求められています。私たちの使命は、それらの環境を作る一助であると考えています。
私は以前、南米エクアドルに伝わる「ハチドリのひとしずく」という物語を読み、感銘を受けました。
私たちはクリキンディのような小さな存在かもしれません。でも、一人ひとりに「私にできること」が必ずあります。その積み重ねが未来へとつながっていくはずと私は信じています。
実り多い人生と、よりよい社会の実現のために、一歩を踏み出していくことを大切にしたいと思っています。
「働き方」「働き甲斐」「将来・未来」それが私たちの理念です。
深井 孝則
~ハチドリのひとしずく~
森が燃えていました
森の生きものたちはわれ先にと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけは行ったり来たり
口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
出典:「ハチドリのひとしずく」 辻 信一監修 光文社刊